【目的】インディルビンはTCDDより強いAhRに対する結合性を示し、ヒト尿中より検出されたことより、内在性リガンドとして注目を集めている。本研究では、インディルビンのマウスin vivoでのチトクロームP450の誘導と本化合物の代謝による誘導効果への影響について検討した。【方法】誘導実験では、50mg/kgでインディルビンあるいはインジゴをマウスに経口投与し、肝ミクロゾームにおける薬物酸化活性を測定した。インディルビンのin vivo代謝実験では、ラットに皮下あるいは腹腔内投与し、血液、胆汁、尿および糞中インディルビン量を、in vitro代謝実験ではラット単離肝細胞あるいは肝ミクロゾームとインディルビンを反応させ、残存したインディルビン量をHPLCを用いて測定した。AhR結合活性はAhRを組み込んだイーストを用いて行った。【結果】1)インディルビンはマウス肝ERODおよび MROD活性を亢進した。しかし、その程度はTCDDに比べてかなり低かった。2)ラットに投与したインディルビンは血中より、非常に早く消失した。3)ラット単離肝細胞に対しても、インディルビンは誘導効果を示したが、本単離細胞によっても本化合物はすみやかに消失した。4)インディルビンはラット肝ミクロゾームによって、速やかに代謝分解され、その効果は3-methylcholanthrene誘導ラット肝で最大であった。5)インディルビンの肝ミクロゾームによる反応物はイーストアッセイにおける結合活性が著しく低下した。【結論・考察】インディルビンは強力なAhR結合活性を示すが、生体内で迅速に不活性な化合物に変化することで、内在性リガンドとしての機能を果たしていると考えられる。しかし、詳細な代謝・分解機構あるいはダイオキシンの毒性軽減効果に関しては今後の検討を要する。