移植
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当院の肝移植における内科医の役割
宮明 寿光江口 晋中尾 一彦
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2020 年 55 巻 Supplement 号 p. 123_1

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抄録

目的 当院では肝移植の術前、術後において内科が外科と密に協力している。当院の肝移植における内科医の役割を示す。肝移植前 当院では肝移植前の患者は原則まず内科に入院し、術前の検査を行う。術前検査の内容としては、腹部CTやMRI等の画像の評価、感染症の評価はもちろんのこと、肝硬変の患者に合併しやすく術後問題になりやすい、糖代謝異常、骨代謝異常の検査まで行う。また生体肝移植のドナーに脂肪肝を認めた場合は、必要に応じて肝生検を行い、食事、運動療法の指導を行い短期間ダイエット後に再度評価し、生体肝移植を10症例に行うことができた。肝移植後 ウイルス肝炎を中心に移植消化器外科と併診でfollowしており、特にC型慢性肝炎に対する抗ウイルス療法の導入のタイミングは内科中心に判断し、内科入院の上、治療導入している。B型慢性肝炎に対しても再活性化対策として核酸アナログ、HBIG投与は内科を中心におこなっている。また移植後の定期検査(各種画像、糖代謝、骨代謝の検査)、肝機能増悪時の肝生検も基本内科入院で行って、対応している。また論文発表により情報発信も積極的に行っており、肝移植関連の消化器内科発表論文が過去5年間で学位論文4報を含む13報ある。結論 肝移植前後の検査、治療、管理において内科医の役割は大きく、肝臓内科医が移植管理に加わることで、移植医療の普及につながると考えられる。

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