移植
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膵臓移植RTCとして
谷口 未佳子剣持 敬伊藤 美樹伊藤 泰平會田 直弘栗原 啓
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2020 年 55 巻 Supplement 号 p. 214_1

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抄録

 膵臓移植は、内因性インスリンが枯渇した1型糖尿病患者が適応となる。血糖値の変動が激しく内科的治療が困難で、頻回な低血糖発作や、心血管系合併症などの進行もあるため、日々生命の危機に脅かされている。日本の膵臓移植認定施設は18施設あり、当院も認定施設であるが、現在までに88件の移植を実施している。1型糖尿病患者は、病院をたらいまわしにされた経験を訴え医療不信に陥っている患者も少なくない。当院では、RTCが術前から移植後外来フォローまで一貫して患者に関わり、精神的ケアを含めた継続的な支援を行っている。患者の窓口を一本化することで医療不信への緩和にも繋がっており、移植施設内にRTCが存在する意義は大きいと考える。患者のフォローアップ病院と移植病院それぞれにRTCがいた場合、RTC同士が連携することで、より患者が安心して医療をうけられる体制が構築できる。RTC間の横の繋がりがあれば、難渋する症例に対しても解決策が得られ、患者にとってよりよいコーディネーションが提供できると考えている。これらのことから考えても、RTC間の横の繋がりは非常に重要であると言える。RTCの認定制度ができ来年で10年となるが、社会的認知度が高いとはいえない現状にある。今後、社会的認知度を高めていくためにも、RTC業務の成果や存在意義を明らかにしていくことが非常に重要であると考える。

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