移植
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当院におけるドナー特異的抗体陽性腎移植の検討
横山 直己兵頭 洋二田代 裕己藤本 卓也遠藤 貴人西岡 遵石村 武志西 愼一藤澤 正人
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s321_3

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抄録

ドナー特異的抗体(DSA)陽性腎移植は免疫学的リスクが高く、移植後の腎予後は一般的に悪いとされる。当院におけるDSA陽性腎移植の治療成績を報告する。【対象と方法】2008年から2021年までに当院で施行した腎移植症例のうち、術前DSAが陽性であった21例が対象。2019年までは術前減感作として血漿交換療法、リツキシマブの投与(PE+RTX)を行い(16例)、2020年以降はそれらにIVIGを加えた(5例)。これら症例の経過を後ろ向きに検討した。【結果】移植時年齢は46.6±12.8歳。21例中女性が16例で、このうち夫からの腎提供は12例で、いずれも妊娠歴を認めた。平均観察期間は84.3±43.8か月。抗体関連型拒絶反応を6例(28.6%)で認めた。移植腎機能喪失例は1例であった。移植後抗体関連拒絶反応を発症した6例はいずれもPE+RTXによる減感作療法が行われており、IVIG併用例では抗体関連拒絶反応発症は認められなかった。術後5年生着率は100%であった。【まとめ】DSA陽性症例では当院の症例でも抗体関連拒絶反応発症を多く認めた。その中で、症例数が少なく観察期間も短いが、IVIG併用例では抗体関連拒絶反応発症は認められなかった。

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