移植
Online ISSN : 2188-0034
Print ISSN : 0578-7947
ISSN-L : 0578-7947
腎移植における慢性抗体関連型拒絶反応に対し、今我々は何ができるのか
田崎 正行
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 58 巻 Supplement 号 p. s119_2

詳細
抄録

「免疫抑制薬の進歩により短期の腎移植成績は改善したが、中・長期の成績は改善していない」という序文は、以前より何度も目にしたことがあると思う。御存じの通り、慢性抗体関連型拒絶反応が中・長期の移植腎生着率改善を阻む最も大きな原因である。残念ながら、FDAに認可された治療薬はない。しかし、少しずつではあるが様々なことが解明され、この分野に関する医療は進歩してきた。例えば、HLA遺伝子タイピングは次世代シーケンサーにより高解像度タイピングが可能になり、抗HLA抗体はルミネックス法により単一HLA抗原に対する抗体を網羅的に解析できるようになった。わが国でも2018年よりHLA抗体スクリーニング検査、抗体特異性同定検査が保険収載され、抗体関連型拒絶反応をより早く発見できるようになった。さらに、HLAMatchmakerやPIRCHE2などの解析ソフトを利用してB細胞エピトープやT細胞エピトープの解析を行い、de novo DSAを産生しやすいペアかどうかを予測することも可能になった。また、DSAにおいても、補体結合性抗体やIgGサブクラスにより移植腎予後が異なることが判明した。抗体関連型拒絶反応の免疫応答の理解も深まり、様々な治療が試され、現在も進行中の前向き試験も複数存在する。我々の実臨床のデータも踏まえ、抗体関連型拒絶反応をどう予測し、どう予防し、どう治療するかを一緒に考えたい。

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top