移植
Online ISSN : 2188-0034
Print ISSN : 0578-7947
ISSN-L : 0578-7947
生体腎移植後のBKポリオ―マウイルス(BKPyV)DNA血症スクリーニングの意義
安次嶺 聡三輪 祐子河田 賢雫 真人岩崎 研太石山 宏平小林 孝彰
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s300_2

詳細
抄録

【目的】BKポリオーマウイルス(BKPyV)が再活性化するとBK腎症を発症し移植腎機能に悪影響を及ぼしうる。治療法が確立していないため、腎症に至る前の早期介入としてBKPyV-DNA血症をスクリーニングすることが推奨されている。これまで当科で施行したスクリーニングからその意義を検討する。【方法】2012年6月から2023年5月まで愛知医科大学で生体腎移植が施行された成人レシピエント265名に対して行われた血中BKPyV-DNA PCRの結果を後方視的に解析した。PCRを術後1.5か月・3か月・6か月・1年・2年・3年まで行い、BKV血症(copy数が4 log/ml以上)を認めた場合はエピソード症例として追跡を継続した。【結果】BKPyV-DNA血症を発症したのは36名(13.5%)で、その86.1%(31名)は術後1年以内に判定された。陽性例に対して、免疫抑制剤を調整(CNI減量 17、MMF減量 9、CNIとMMF減量 6、EVR追加 1)、または調整なしでcopy数が感度以下になるまで追跡したところ、35名(97.2%)は陰性化した。組織学的にBK腎症を発症した3名のうち、1名は移植腎機能廃絶に至ったが、2名は移植腎機能を維持できた。全体では、腎機能廃絶1例以外の35名の移植腎機能は維持された(DGFを含む)。【考察】腎移植後1年以内のBKPyV-DNA血症スクリーニングは、臨床経過が良い場合でもBK腎症に対する早期治療介入につながる意義がありそうである。

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top