移植
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当科における、非糖尿病腎移植患者に対するSGLT2阻害薬使用経験
椛 朱梨野口 浩司新垣 滉大久保 進祐久留 裕加来 啓三岡部 安博中村 雅史
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2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s327_3

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抄録

【緒言】慢性腎臓病患者に対してダパグリフロジンの腎保護作用が報告されているが、腎移植患者に対してダパグリフロジンを使用した報告は少ない。当科における、非糖尿病の腎移植患者に対するダパグリフロジン使用経験について報告する。【方法】当科にて、2021年9月~2023年7月までに糖尿病の合併がない、腎移植後にダパグリフロジンを開始した症例について患者背景と、開始前と開始後10か月後のeGFR、BMI、HbA1cの推移と副作用の有無を検討した。【結果】対象患者は6例、男女3例ずつで、中央値は年齢52歳、移植後開始時期が7.5ヶ月であった。開始前と10か月後の中央値は、それぞれeGFR:53.3ml/min/1.73m2 vs 53.5ml/min/1.73m2、BMI:29.2 vs 29.5、HbA1c:6.2% vs 6.1%でいずれも有意差は認めなかった。2例は、観察期間に拒絶反応を発症し治療を施行された。また、1例で2回の軽度の膀胱炎を認めたが、外来での内服抗生剤治療で軽快し、ダパグリフロジンの投与は継続された。そのほかに明らかな副作用は認めず、投与中断は認めなかった。【結論】ダパグリフロジンの糖尿病を有さない腎移植患者に対する、長期的な効果は現時点では不明であるが、忍容性は高いと思われた。

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