抄録
浮稲, 非浮稲を含む10品種を用い, バンコックの網室条件下で, 各月にポットに播種し, 伸長節間数, 出穂迄日数, 最終葉数を記録した (第2表) .
品種毎に伸長節間数 (IN) と出穂迄日数 (H) との相関をみると, 非感光性品種のRD1を除き, いずれも有意であり, 出穂迄日数 (H) が大なる時, 伸長節間数が大となる傾向が一般的にみとあられた (第1表, 第1図) .
INのHに対する回帰直線を, 浮稲品種群 (5品種) と在来長稈品種群 (2品種) の2群について求め, 伸長節間数における両群の差 (dIN) を求めてみると, dIN=0.039H-1.251なる関係となり, H=100, 200日の時, dINはそれぞれ2.65, 6.55となる.即ち同一出穂迄日数で比較した時, 浮稲は非浮稲に比べ伸長節間数が多い (第1図, 第1表) .
最終葉数 (LN) と伸長節間数 (IN) との関係をみるとく (第3表) , 浮稲は非浮稲より低位の節位から節間伸長を開始していることがうかがわれた.
このように出穂迄日数にかかわらず, 浮稲と非浮稲の伸長節間数に差が認められることから, 出穂開花と節間伸長とは相対的に独立した現象と考えられ, 早生あるいは極晩生の浮稲品種の育成は可能と思われる.従来, 通念として浮稲=晩生と考えられてきたのは, 自然淘汰による形質間相関を見てきたものであろうと思われる.