1990 年 34 巻 3 号 p. 176-180
無遮光および80%遮光下で発育したサゴヤシ葉の光合成特性を, 異なる光強度, 温度, 大気CO2濃度に対する反応の面から調べた.光合成特性への生育中の光強度の影響は認められなかった.見かけの光合成速度は葉の展開後35から45日目に最大であった.サゴヤシは, 見かけの光合成速度が低いこと (13~15mgCO2/dm2/h) , 光飽和点が低いこと (750μmol/m2/s) , CO2補償点が高いこと (約44ppm) 並びに最大能力を示す温度が中程度であること (26.0~27.4℃) からC3植物であると考えられた.また, 蒸散速度や気孔密度が低いこと並びに気孔による律速度が大きいこと (30%以上) から, その光合成は主として気孔要因によって支配されるものと考えられた.