金時, 三州および人ショウガの3品種の, 通常の二倍体ショウガと茎頂培養により作成した四倍体ショウガにおける, 辛味成分含有量, 辛味性および抗酸化性を比較検討した.
辛味成分のジンゲロール量は, 品種を問わずいずれの四倍体でも二倍体よりは増大しており, とくに10ジンゲロールの増加が顕著であった.また, 金時の二倍体および四倍体は, 他の2品種よりも多くのジンゲロールを含有した.辛味の官能検査の結果, 辛味の強いのは四倍体であり, 金時>大ショウガ>三州の順であった.金時二倍体を除く5試料間では, 辛味の強さはジンゲロール量に対応していた.ショウガの抗酸化性についてみると, 重量法では抗酸化効果は認められなかったが, ロダン鉄法では, どの試料も強い効力を示し, また, デオキシリボーズ酸化法でも, 品種によって二倍体と四倍体との間に抗酸化性の差異はあるものの, いずれの四倍体もデオキシリボースの酸化を40%抑制した.
以上のことから, 四倍体ショウガは, 二倍体ショウガの辛味性および抗酸化性の特性を保持, 増強していることが明らかになった.