熱帯農業
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バングラデシュ東部における土壌断面からみたレンガ焼成による農地土壌の劣化評価
Md. Harunor Rashid KHANMd. Khalilur RAHMANA.J.M. Abdur ROUF沖 陽子足立 忠司
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2006 年 50 巻 4 号 p. 183-189

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抄録

レンガ焼成 (400~1000℃) による農地土壌の劣化をレンガ窯近傍の土壌と農地土壌とを比較することにより検討した.供試した土壌はバングラデシュ東部に位置するCox's Bazar地方, Comilla地方, Moulvibazar地方, Dhaka地方およびMymensingh地方から得たものである.農地土壌のpHは, Cox's Bazar地方の下層土を除き (この場合は逆の現象を示した) , 土層の深さと共に増加するが, レンガ窯近傍の土壌においては, 5%水準で有意にpHは平均8%, ECは520%に増大した.土層の砂質含量は245%まで増加し, シルトと粘土含量は39%および36%減少した.対照として実施した農地土壌への火入れは有機物含量を66%減少させ, N, P, KおよびS含量も有効態として67%から90%, 総量として27%から73%減少した.この総量の3/4程度の農地土壌の劣化現象は肥沃度を低下させるのみならず, レンガ窯近傍の5000haの面積で1m以浅のプロファイルから有機物総量の66%, 全窒素量の44%および全硫黄量の70%の焼失が算出されたので, 二酸化炭素, 窒素酸化物および硫黄酸化物の放出による環境公害や気候変動への影響が懸念される.

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© 日本熱帯農業学会
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