抄録
近年,車載機により災害情報の提供を可能とする道路交通情報システム (次世代 VICS) の検討が進んでおり、この技術が実装されれば、車両の走行位置に応じた災害情報の受信が可能となる。本研究では、次世代 VICS 構想を踏まえ、将来的なサービス導入によりカーナビ画面を介した災害情報の提供を開始した場合の伝達効果を推計した。まず初めに、豪雨時に走行していたドライバーへのアンケート調査に基づき、ドライバーへの情報リーチ率の推計式を得た。次に、推計式とパーソントリップ調査データを用いて、神奈川県の相模川および金目川水系において、洪水ハザードマップにおける浸水想定区域内でのドライバーへの情報提供効果の定量的評価を行ったところ、新たなサービス導入はドライバーへの災害情報リーチ率を高める効果があることが確認された。