2015 年 1 巻 4 号 p. A_18-A_23
歩行者動線の分析は、歩行空間の設計や評価にあたって重要である。本研究では、特に角度データに着目し、歩行者動線分析手法の基礎的検討を行う。動線データを各時刻における位置と角度からなるデータの集合であると捉え、取得した角度データを対象領域内の位置に対して分析する。基礎分析より、駅改札付近においては多くの歩行者が同じような動線を描く、すなわち、改札に対する相対的な位置によって進行方向が限定的であることがわかった。そこで、角度データを扱う統計手法である方向統計学に基づいて、位置を変数として角度を説明する回帰モデルを構築する。簡単な例において、角度データが満たすべき循環性などの性質を満足するモデルが推定できた。この回帰モデルについて、異常検出や角度選択モデルへの応用可能性を検討した。