脳卒中
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原著
脳梗塞急性期治療における医療経済分析
―プラセボ対照ファスジル臨床試験を利用して―
篠原 幸人小林 慎梅田 俊也
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2007 年 29 巻 1 号 p. 22-28

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抄録

各種脳血管障害治療の医療経済分析は本邦では十分なされていない. 今回我々は脳梗塞急性期治療薬として効果が示された塩酸ファスジル (以下ファスジル) を, 70歳男性の脳梗塞急性期治療を例に, その医療経済性を検討した. ファスジルを用いたプラセボ対照二重盲検比較試験のmodified Rankin Scale (発症1カ月後) の分布を基に, 急性期医療費, 介護費用および質調整生存年 (quality adjusted life years ; QALYs) を計算した. 急性期医療費はDPCによる包括点数, 退院後介護費用とQALYsはマルコフモデルで推計した. ファスジル使用では急性期医療費6万円, 介護費用141万円の減少, QALYsは0.79の延長が期待でき, 感度分析の優劣逆転はなかった. ファスジルによる脳梗塞急性期治療の医療経済的有用性が示唆され, 各種脳血管障害治療における今後の医療経済分析の重要性を強調した.

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© 2007 日本脳卒中学会
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