慢性透析患者の急性期脳梗塞について臨床的特徴を検討した. 対象は2003年5月から2006年8月までに, 当科で入院加療した慢性維持透析中 (血液透析29例, CAPD4例) の急性期脳梗塞患者33例 (男25例, 女8例) である. 発症時年齢は44~88歳, 平均68歳で, 発症までの透析期間は平均5.6年. 透析導入疾患は慢性糸球体腎炎が16例, 糖尿病性腎症が10例, その他7例. 臨床病型はアテローム血栓性脳梗塞13例, ラクナ梗塞9例および心原性脳塞栓11例で, 動脈硬化性病変と心臓内血栓の存在が示唆された. 入院時のNIHSSは平均9で, 高血圧は79%に, 心房細動は21%に認めた. 透析中ないし透析直後の発症が12%にみられ, 動脈硬化に加え透析に伴う血行力学的機序が関係していると考えられた. 平均在院日数は25日で, 退院時mRS4以上の重症患者が42%, 死亡例も15%含まれ予後不良例が多かった.