脳卒中
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片頭痛発作中に生じた後大脳動脈領域梗塞3症例の脳血管撮影を用いた検討
細見 明子山本 康正濱中 正嗣天神 博志中川 正法
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2008 年 30 巻 5 号 p. 682-688

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抄録

片頭痛発作中に発症した後大脳動脈(PCA)領域の脳梗塞の3症例について,脳血管撮影を行い成因の検討を行った.症例1は21歳女性で,MRAではPCA閉塞,左PCA領域に出血性梗塞を認め,脳血管撮影上,左PCA近位部の壁不正とともに末梢血管は描出されており,原因不明の塞栓の再開通が推察された.追跡のMRAでは良好に描出が見られた.症例2は18歳女性で急性期のMRAの描出はみられるがやや弱く,脳血管撮影では狭窄等はなく末梢血管描出は増強されていた.しかし,追跡のMRAではPCAは閉塞していた.成因は不明であった.症例3は29歳女性で,MRAではPCA閉塞,脳血管撮影ではPCAのtaperingの所見と考えられる狭窄性変化が観察され,動脈解離の可能性が疑われた.追跡のMRAでは良好に描出が見られた.片頭痛発作に伴う脳梗塞の機序は多彩であり,今後血管情報を含めたさらなる検討が必要である.

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© 2008 日本脳卒中学会
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