脳卒中
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原著
脳梗塞の治療成績は施設の医師数により影響される
山下 勝弘岡山 明佐藤 智彦西村 康明成冨 博章
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2008 年 30 巻 6 号 p. 846-851

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抄録

脳卒中,特に脳梗塞の治療成績にどのような因子が影響するのか,患者側因子と治療を行う施設側因子の両面より検討した.平成16年度より始まった循環器病委託研究「循環器病臨床評価指標の質的向上と効果的活用法の研究」において全国27施設で脳卒中患者の悉皆的登録を行い,3,244例の脳梗塞患者を登録した.脳梗塞患者の転帰と複数の患者側因子,施設側因子との関係を多変量解析により検討した.その結果,患者側因子として,患者の年齢,入院時重症度,高脂血症が有意に転帰に影響し,施設側因子として,神経内科医師数,脳神経外科医師数が有意に転帰に影響した.特に重症患者が多い心原性塞栓で医師数が多いほど患者の転帰は良好であった.
今後,脳卒中診療を担当する医師数の増加,stroke care unit(SCU)への医師の集約化などが日本の脳卒中診療における重要な課題であると考えられた.

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© 2008 日本脳卒中学会
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