脳卒中
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総説
大規模疫学研究の現状─広島・長崎の成人健康調査─
藤原 佐枝子山田 美智子高橋 郁乃
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2009 年 31 巻 6 号 p. 439-442

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抄録

成人健康調査(Adult Health Study:AHS)は,広島,長崎の原爆被爆者に対する原爆放射線の影響を調査する目的で1950年に設定された.AHS 対象者は,1950年の国勢調査に基づき,原爆投下時に広島,長崎にいた住民2万人から構成され,1958年から2年毎の健診を通じて追跡されている.50年に亘る長期追跡調査のデータの蓄積は,放射線影響研究だけでなく,脳卒中,認知症などを含む臨床疫学研究にも,広く活かされている.
AHSの認知症研究では,女性においては,アルツハイマー型認知症が血管性認知症に比べ,有病率が高いことが分かった.また,最近の脳卒中研究では,日本人における脳卒中の生涯リスクを初めて求めた.さらに,中年期の血圧は,脳卒中の生涯リスクの予測因子であることを示した.原爆放射線の影響は,認知症には認められず,脳卒中との関係は現在解析が進められている.
この長期に亘る大規模調査から,今後も,意義ある疾患予防に関する疫学所見が得られることが期待される.

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© 2009 日本脳卒中学会
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