脳卒中
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原著
脳卒中患者の摂食・嚥下障害における間欠的口腔カテーテル栄養法(IOC)と胃瘻の使い分け
—経口摂取転帰と胃排出能の比較—
木佐 俊郎酒井 康生岡野 一亮岩成 正恵
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2010 年 32 巻 1 号 p. 41-47

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抄録

持続的経鼻経管栄養法(CNG)または胃瘻管理で回復期リハビリテーション病床に転床した脳卒中患者57例を対象に,間欠的口腔カテーテル栄養法(IOC)に変更し管理したIOC加療群,CNGのまま管理したCNG群,胃瘻のまま管理した胃瘻群の3群に分け,前方視的に調査した.退院時に3食経口摂取可能となった割合は,IOC群で71.4%,CNG群で21.4%,胃瘻群で9.1% と,IOC群で有意に(p‹.05)高かった.
また,23例でバリウム・ボール+造粘剤の胃腔への経管注入法による胃排出能検査を行ったところ,35分を過ぎてもバリウム・ボールが胃内に残存(ないしは殆ど残存)した症例が,IOC群と比べて胃瘻群のほうに有意に(p‹.05)多く,IOCに比べ胃瘻では胃排出能が不良なことが示唆された.
脳卒中の摂食・嚥下障害の急性期~回復期ではIOC開始の条件を満たす場合は胃瘻ではなく先ずIOC,回復期~慢性期であっても安直に胃瘻に踏み切るのでなく,十分な検査と説明に基づきIOCとの使い分けを行う必要があると思われた.

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© 2010 日本脳卒中学会
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