脳卒中
Online ISSN : 1883-1923
Print ISSN : 0912-0726
ISSN-L : 0912-0726
原著
経管栄養で入院した脳卒中患者の嚥下障害の予後について
武田 有希大沢 愛子前島 伸一郎西尾 大祐木川 浩志
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 33 巻 1 号 p. 17-24

詳細
抄録

回復期リハビリテーション(リハ)病棟における摂食嚥下障害の予後について検討した.対象は,発症1カ月の時点で経管栄養の患者47名(脳出血17名,脳梗塞19名,くも膜下出血11名)で,平均年齢は71.0±12.6歳であった.これらの患者の背景因子,身体機能,認知機能,嚥下機能,日常生活活動(ADL)を評価し,退院時に3食経口摂取の患者(経口群)と,経管栄養の患者(非経口群)の2群に分け比較した.また,原因疾患と嚥下障害の経過を検討した.その結果,経口群は非経口群に比べ年齢が若く,在院中の身体機能,認知機能,嚥下機能,ADLの改善が大きかった.脳出血の患者は発症6週から急速に改善したが,くも膜下出血の患者では発症後8週頃より改善した.以上から,脳卒中の嚥下障害の予後を考える上で,疾患による差に留意し,嚥下のみでなく身体機能,認知機能を高めるような訓練の継続が必要だと考える.

著者関連情報
© 2011 日本脳卒中学会
前の記事 次の記事
feedback
Top