脳卒中
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症例報告
遠位椎骨動脈および脳底動脈の閉塞を認めた延髄内側梗塞の1例
中嶋 浩二中條 敬人河面 倫有加藤 晶人今泉 陽一清水 裕樹杉江 正行村上 秀友市川 博雄泉山 仁
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2011 年 33 巻 5 号 p. 517-523

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抄録

症例は64歳の男性で,散歩中,突然の右片麻痺と構音障害を自覚し,当院へ緊急入院となった.頭部CTでは明らかな異常所見を指摘できず,MRI拡散強調画像を行ったところ,延髄左傍正中部に淡い高信号域を認めた.発症6日後に行ったMRI拡散強調画像では,延髄左傍正中部に強い高信号域を認めた.発症7日後の脳血管撮影では,左遠位椎骨動脈と脳底動脈で閉塞を認め,これがMMIの原因と考えられた.発症14日後に行ったbasi-parallel anatomical scanning MR imaging (BPAS-MRI)では,左遠位椎骨動脈に狭小化を認めた.MMIの原因として,遠位椎骨動脈の動脈硬化が重要で,多くはbranch occlusionの様式で梗塞を発症するといわれている.われわれの経験から,MMIの症例においてBPAS-MRIを行うことは,MMIの発症機序の推定に有用であることが示唆された.

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© 2011 日本脳卒中学会
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