脳卒中
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症例報告
シロスタゾールが奏効した症候性頭蓋内動脈狭窄症の3例
池田 典生西崎 隆文阿美古 将坂倉 孝紀中野 茂樹
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2012 年 34 巻 3 号 p. 161-165

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抄録

シロスタゾールが奏効した症候性頭蓋内動脈狭窄症の3例を経験した.症例1:62歳,男性.TIA発症の左中大脳動脈狭窄症で,脳血流検査は正常範囲内でシロスタゾール投与を開始し,発症3カ月後の3D-CTAで狭窄の改善を認めた.症例2:67歳,女性.TIA発症の脳底動脈狭窄症でシロスタゾール投与を開始し,発症3週間後の脳血管撮影および発症4週間後の3D-CTAで狭窄の劇的改善を認めた.症例3:69歳,男性.脳底動脈狭窄による左橋・小脳梗塞にて発症し経皮的脳血管形成術を行った.術前よりシロスタゾールを投与し,術後6カ月後の3D-CTAで再狭窄なく,術後12カ月後の脳血管撮影で残存狭窄部の改善を認めた.シロスタゾールは血小板凝集抑制作用だけでなく,血管内皮機能改善作用,血管拡張作用,血管平滑筋細胞増殖抑制作用などを有し症候性頭蓋内動脈狭窄の改善効果があり,経皮的脳血管形成術後の再狭窄予防や残存狭窄の改善に有効であると思われる.

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© 2012 日本脳卒中学会
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