脳卒中
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原著
全国労災病院データ150,899例(1984~2009年)からみたわが国の脳卒中病型の変遷
豊田 章宏
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2012 年 34 巻 6 号 p. 399-407

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抄録

【背景および目的】わが国の脳卒中死亡率は減少したが発症数は減少しておらず,病型構成も生活様式の変化により変わったとの報告が多い.しかし,継続した大規模データの解析例は少なく,CT普及以前は病型診断自体に曖昧な点も多いため,CT普及後の約15万件のデータを用いて検討した.【方法】1984~2009年度に全国32の全国労災病院群で入院治療された全脳卒中患者150,899例について脳卒中病型の変化を性別や年齢別に分析した.【結果】脳梗塞は2003年頃まで年々増加した後はほぼ横ばい.脳出血は微増傾向が持続.くも膜下出血はほぼ横ばい.病型割合では,脳梗塞が54.6%から66.2%へ増加し,脳出血は28.7%から26.2%,くも膜下出血は16.7%から7.6%へと相対的に減少した.患者年齢層別の検討では,くも膜下出血は高齢女性で増加.脳内出血は男女ともに高齢患者が増加.脳梗塞に関しては,脳血栓は男性では30歳代から増加し,脳塞栓は男女差は少ないが高齢者で多かった.

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© 2012 日本脳卒中学会
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