脳卒中
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ダビガトランの投与によりAPTTが過剰延長した症例と出血性合併症を呈した症例の特徴
永沢 光山口 佳剛小野 洋也田中 英智山川 達志
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2012 年 34 巻 6 号 p. 435-439

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抄録

ダビガトランを新規に投与開始した44例(男性27例,年齢の中央値77歳)について投与前後の血液凝固マーカーの推移や出血性合併症の有無などを調査した.出血性合併症3例とAPTT 70秒以上の過剰延長を呈した6例を合わせた群では有意にBUN,血清クレアチニンが高値であり,CCRが低値であった.ダビガトラン投与前のAPTTは平均29.5±3.7秒であったが投与後初回のAPTTは46.9±8.4秒と有意に延長した(p<0.001).しかし初回と比べて2回目のAPTTは49.4±8.8秒と差がなかった(p=0.101).ダビガトランは投与開始初期にAPTTが有意に延長し,腎機能障害を有する例では過剰延長を来す危険性が高くなり注意が必要である.ダビガトラン投与開始後早期にAPTTを含む凝固能検査を行うことが推奨される.

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© 2012 日本脳卒中学会
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