2015 年 37 巻 6 号 p. 452-455
要旨:脳卒中急性期で経鼻経管栄養(以下:経管栄養)が必要な症例に対し,レモン果汁を用いた経管栄養剤の急速投与を実施し,その有効性と安全性を検証した.脳卒中で入院し,経管栄養が必要で,かつできるだけ早期のリハビリを行うことが望ましい患者7 名に対し,経管栄養剤投与前後に,レモン果汁を経管栄養剤の5%の量を注入し,消化器症状(嘔吐・下痢)の有無,リハビリ単位を比較した.全例でレモン果汁使用前・後では排泄パターン(便回数・便性状)に変化はなく,悪心,嘔吐は見られなかった.従来1 回の経管栄養剤の投与には1 回1.5~2 時間程度(1 日に4.5~6 時間)を要したが,レモン果汁と経管栄養剤の急速投与は約20 分であり,経管栄養剤投与時間の短縮が実現できた.経管栄養を行っている患者にレモン果汁を用いることで,安全に早期離床が達成できる可能性があり,今後多数例での検討が必要である.