脳卒中
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症例報告
抗凝固薬が症状の進行抑制に有用と考えられたアテローム血栓性脳梗塞の1 例
樋口 瑛子内山 由美子飯嶋 睦北川 一夫
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2015 年 37 巻 6 号 p. 446-451

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抄録

要旨:症例は81 歳男性.構音障害,左定方向性眼振,右上肢協調運動障害を呈し,右小脳半球,左後頭葉に急性期アテローム血栓性脳梗塞を認めた.頭部MRA で,頭蓋内血管はびまん性に壁不正,狭窄があり,特に椎骨脳底動脈で高度であった.アルガトロバン点滴に加えクロピドグレル,アスピリンを内服投与したが,アルガトロバン投与終了後,意識障害,右片麻痺,左下肢麻痺が出現,症状は急激に進行した.このためヘパリン持続投与を開始し,その後神経症状は安定した.本例のようにアテローム血栓性脳梗塞では,神経症状の増悪を抑止するため,急性期に,抗血小板療法に加え,抗凝固薬併用をすべき症例が存在すると考えられた.

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© 2015 日本脳卒中学会
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