脳卒中
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症例報告
脳室内穿破を伴う脳膿瘍に併発した脳梗塞の1 例
阿部 英治郷田 周中野 俊久湧川 佳幸永冨 裕文藤木 稔
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2016 年 38 巻 1 号 p. 43-48

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抄録

要旨:症例は63 歳,女性.乳癌に対し放射線治療とホルモン療法中で,1 週間前に頭痛で発症し,2 日前より発熱と右不全麻痺が出現.MRI(DWI)で左頭頂後頭葉から左側脳室内に連続する高信号域を認め,脳室内穿破した脳膿瘍と診断.抗生物質投与および脳膿瘍排膿ドレナージ術を行った.術後2 日目に右片麻痺増悪と失語も増悪し,DWI で左前頭側頭葉に急性期脳梗塞を認め,点滴加療した.入院時MRA で左中大脳動脈および両側前大脳動脈に壁不整や狭窄を認めたが,脳梗塞発症時には左中大脳動脈が閉塞した.抗生物質投与後,感染徴候は改善し,CTA にて両側前大脳動脈の壁不正は改善したが,左中大脳動脈の閉塞は残存し,原画にて左中大脳動脈周囲のくも膜や軟膜の造影効果を認めた.脳室内穿破した脳膿瘍でも脳梗塞を来す可能性があり,ステロイドを投与すべきだが,合併症もありうるため十分な注意が必要である.

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© 2016 日本脳卒中学会
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