2016 年 38 巻 5 号 p. 307-312
【目的】頭部MRA 上の中大脳動脈MCA の信号を評価しSPECT 検査との関連を調べた.【方法】前方循環虚血病変が疑われる243 症例を対象とし,頭部MRA 上の一側MCA 信号低下の有無を評価し,MCA 信号の描出不良群と良好群の安静時脳血流量と脳血管反応性CVR を比較した.【結果】両群間で安静時脳血流量に有意な差は認めなかったが,CVR は描出不良群で有意に低かった(p<0.01).安静時脳血流量が対側の80%未満,かつCVR が10%未満のPowers 分類stage II 相当の血行力学的脳虚血は243 症例中8 症例(3.3%)に認めたが,全例描出不良群であり,描出良好群に該当例は認められなかった.【結論】MRA にてMCA の描出が不良であれば,血行力学的脳虚血の可能性はあるが,良好であれば血行力学的脳虚血はないと推定される.