脳卒中
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総説
糖代謝異常・脂質異常症と脳卒中の疫学:久山町研究
秦 淳清原 裕
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2016 年 38 巻 6 号 p. 442-448

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抄録

久山町研究によると,高血圧治療の普及に伴い脳梗塞発症率は男性では1960 年代から1990年代にかけて,女性では1960 年代から1970 年代にかけて大きく低下したが,最近その低下の程度が鈍化している.その原因として糖代謝異常,脂質異常症の有病率が時代とともに増加したことが挙げられる.40~79 歳の久山町住民を7 年間追跡した成績によると,HbA1c レベルの上昇にともない脳梗塞の発症リスクは直線的に上昇し,5.0%以下の群と比べて5.5%以上の群で有意差を認めた.つまり,糖尿病に至らない軽度のHbA1c レベルの上昇も脳梗塞発症の危険因子であることが示唆される.また,40 歳以上の住民を24 年間追跡した成績では,non-HDL コレステロール高値はアテローム血栓性脳梗塞発症の有意な危険因子であった.わが国の脳梗塞発症率をさらに低下させるためには,これら代謝性疾患に対する包括的な予防・治療が必要である.

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© 2016 日本脳卒中学会
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