脳卒中
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症例報告
MRI で視床後部から辺縁系,大脳皮質に過灌流による浮腫性病変を認めた非痙攣性てんかん重積の1 例
新井 鐘一熊井 康敬宇都宮 英綱
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2017 年 39 巻 6 号 p. 446-450

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抄録

症例は84 歳男性.感覚性失語様の軽度の見当識障害で発症.発症日の頭部MRI では左視床枕,海馬に拡散強調画像で淡い高信号域を認め,急性期脳梗塞が疑われた.発症2 病日のMRI では病変は左扁桃体から鉤,島皮質,前頭葉底部へと拡大し,ADC-map では淡い高信号域から低信号域,FLAIR では明瞭な高信号域を呈していた.発症3 病日の灌流画像(ASL)では左側頭葉の血流増大を認め,頭部MRA では左MCA の末梢枝は拡張していた.病変の局在から原因として辺縁系脳炎が鑑別に挙げられたが,髄液や特殊血清検査では明らかな異常所見は指摘されなかった.その後,発症16 病日のMRI では浮腫性病変は縮小していた.本例の病変は細胞性浮腫と血管性浮腫の混在した浮腫性病変であり,その機序としてMRI の推移とASL の所見から過灌流が大きく関与していると考えられた.

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© 2017 日本脳卒中学会
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