2019 年 41 巻 1 号 p. 19-24
頭蓋内動脈の狭窄性病変(intracranial arterial stenosis: ICAS)は,虚血性脳血管障害の重要な病 因のひとつであり,日本人をはじめとするアジア人では,欧米人に比べてその頻度が高いと言われ ている.また,症候性ICAS を有する患者での年間脳卒中再発率は15%以上にも達すると報告さ れ,ICAS に起因する虚血性脳血管障害の再発予防は,臨床上,極めて重要な課題のひとつであっ た.症候性ICAS(70~99%狭窄)例を積極的内科治療群と積極的内科治療群+ 血管内治療群に無作為 化してその安全性および有効性を比較検討したStenting and Aggressive Medical Management for Preventing Recurrent Stroke in Intracranial Stenosis (SAMMPRIS)試験では,積極的内科治療群の脳卒中再発率が 予想されたよりも低く,内科治療の内容に重要な示唆を与えた.近年の臨床試験において,症候性 ICAS 例における脳卒中再発率が低下している理由として,高血圧,糖尿病や脂質異常症などのリス ク管理の標準化および厳格化や抗血小板薬の2 剤併用療法などが挙げられる.