脳卒中
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症例報告
ペルフェナジン内服により小脳出血に伴う難治性嘔吐が消失した2 例
荒井 元美
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2019 年 41 巻 2 号 p. 115-119

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抄録

要旨:小脳出血では悪心や嘔吐を高頻度に伴い,機能回復の阻害要因になるので対症療法が重要である.ペルフェナジン(PPZ)内服で難治性嘔吐は消失したが,副作用の錐体外路症状に対処する必要があった2 症例を報告した.症例1 では片葉小節葉と傍索状体を巻き込むと推定される小さな血腫があり,頭位変換時などに嘔吐を繰り返したが,PPZ 12 mg/日の内服で嘔吐は消失した.内服開始6 週間後に減量し,その数日後からアカシジアが出現したが内服中止後に消失した.症例2 は小脳後葉に大きな血腫があり,小脳性認知情動症候群と反復する嘔吐が遷延してほぼ寝たきりであった.PPZ 24 mg/日で嘔吐が止まり機能回復訓練を実施できたが,パーキンソン症候群が目立ってきた.手関節の歯車様筋固縮に明らかな左右差があったので,もともと軽度のパーキンソン病がありPPZ により無動が悪化した可能性がある.PPZ 中止とレボドパ配合剤の内服で改善した.

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© 2019 日本脳卒中学会
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