脳卒中
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症例報告
被殻出血を契機に診断に至った先端巨大症の1例
長島 良大井田 知彌有屋田 健一堤 恭介田中 健太郎柳橋 万隆中村 安伸花川 一郎村尾 昌彦井手 隆文
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2020 年 42 巻 5 号 p. 423-428

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抄録

要旨:症例は67 歳の男性.10 年来の高血圧と糖尿病で近医内科に通院していたが,血圧や血糖のコントロールは不良であった.右片麻痺,失語で発症した左被殻出血で入院し,身体所見から先端巨大症を疑い確定診断に至った.リハビリテーションを優先してから下垂体腫瘍の手術を行った.その後も脳梗塞やTIA を反復し,加療とリハビリテーションを要した.当患者の脳出血や脳虚血の背景には,GH 過剰分泌が関与する二次性の高血圧や糖尿病の影響が推定された.コントロール不良の高血圧や糖尿病では,二次性の病態である可能性を再考して鑑別診断すれば,原疾患の診断と治療に繋がり,予後の改善に寄与すると考えられた.先端巨大症患者の脳血管障害についての報告では,その死亡率は通常よりも高いとされており,高血圧や糖尿病の背景疾患の鑑別による先端巨大症の早期発見と早期治療介入は,先端巨大症の予後改善に繋がることが予測され重要と考えられた.

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© 2019 日本脳卒中学会
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