脳卒中
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総説
総論『Cerebral microbleeds の成因と臨床 II』
今泉 俊雄稲村 茂吉藤 和久丹羽 潤
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2020 年 42 巻 5 号 p. 375-382

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抄録

要旨:Cerebral microbleeds (CMBs)は,高血圧,cerebral amyloid angiopathy,高齢,遺伝などの脳卒中危険因子に加え,慢性閉塞性肺疾患,片頭痛,虫歯菌などとの関連が新たにわかった.CMBsは,deep CMBs(後頭蓋窩を含む)とlobar CMBs に分類して検討されるが,deep,lobar 領域両方に微小血管障害があると,相乗的な悪化が指摘されている.CMBs 保有者は,脳卒中の発症率,再発率が非保有者に比較して有意に高く,CMBs は脳卒中のバイオマーカーとして重要である.脳出血発症率が高いCMBs 保有者の抗血栓療法についての明確な指針はないが,CMBs を5 以上保有する虚血性脳卒中例では再発として脳梗塞より脳出血発症が上回るため,抗血小板剤,抗凝固剤使用を慎重にすべきである.CMBs と認知症との関連がさらに詳細に検討された.Lobar CMBs はアルツハイマー型認知症との関連はあるが,本邦ではdeep CMBs が認知症と強く関連し,脳血管性認知機能障害のマーカーでもある.西洋と東洋ではCMBs の分布に差があり,認知症や脳卒中への関与に違いがある可能性も指摘されている.

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© 2019 日本脳卒中学会
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