脳卒中
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症例報告
両側内頸動脈系主幹動脈塞栓症に対して機械的血栓回収療法が奏功した1例
古田 泰之藤谷 茂太大垣 福太朗小川 正太郎水田 亮佑藤本 蒼上田 雅之太田 貴裕
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2020 年 42 巻 6 号 p. 553-559

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抄録

要旨:両側主幹動脈塞栓症は全虚血性脳卒中の0.34%に生じたとの報告があり,治療例に関する報告は少数で予後も不良である.両側内頸動脈系塞栓症に対し機械的血栓回収療法が奏功した症例を報告する.心房細動未治療の69歳男性,意識障害,右共同偏視,左上下肢麻痺,失語で救急搬送となった.来院時,JCS 20,NIHSS 28点.ASPECTS-DWIは右が7点,左が10点であった.MRAでは後交通動脈分岐遠位の右内頸動脈,左中大脳動脈閉塞を認めた.rt-PA静注し両側一期的血栓回収術を施行.ASPECTSがより低値で症状が重い右側から治療した.右側mTICI 3,左側2aの再開通を得た.術翌日MRIで脳梗塞の進行を認めずNIHSSは1点に改善,mRS 0で自宅退院した.両側内頸動脈系塞栓症は保存的加療の予後が悪いが,症例によって治療順序(左右)の選択を適切に行い,迅速に血管内治療を遂行すれば良好な予後が見込める可能性がある.

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© 2020 日本脳卒中学会
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