2021 年 43 巻 2 号 p. 158-166
要旨:頭蓋内主幹動脈閉塞に頸部内頸動脈狭窄もしくは閉塞を伴う tandem lesions を有する急性期脳梗塞に対し,早期再灌流最優先の方針で加療した rt-PA 非投与の自験5例をもとに,その治療戦略について検討した.頸動脈狭窄が高度で血栓回収とCASを一期的に併用した3症例については,血栓吸引カテーテルが近位部病変を通過困難な1例ではCASを先行し,通過可能な2例では血栓回収先行後,CASを追加した.全例で良好な再開通が得られたが,1例でステント内血栓症を合併した.ステント留置による過凝固傾向を惹起した可能性があった.頸動脈中等度狭窄で術中狭窄の進行がない2例では,CEAによる二期的血行再建術を選択したが,web状狭窄を伴った1例に脳梗塞の再発が生じた.中等度狭窄であっても可及的早期の CAS/CEA を検討すべきである.