脳卒中
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症例報告
Carotid webを伴った急性期脳梗塞に対し頸動脈ステント留置術(CAS)を施行した1例
田中 陽平高野 弘基滑川 将気鈴木 倫明源甲斐 信行阿部 博史
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キーワード: carotid web, stent, stroke
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2021 年 43 巻 3 号 p. 256-261

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抄録

要旨:症例は47歳女性,廊下で倒れているところを発見され当院に救急搬送された.診察上左共同偏視,全失語,右重度片麻痺,右半側空間無視を認めた.頭部MRIは左中大脳動脈M1近位閉塞を認めた.経皮的血栓回収療法を行い完全再開通を得た.術後,3D-CTAで左内頸動脈起始部に突出する構造物を認め,carotid webと診断し,他に塞栓源を認めなかったため,この病変が塞栓源であると考えた.Carotid webに対し頸動脈ステント留置術(CAS)を行い,術後経過は良好である.Carotid webは頸部内頸動脈起始部後壁にできる棚状構造物で,脳梗塞の塞栓源の一つと考えられている.内科的治療単独では高率に脳梗塞を再発するといわれており,外科治療が考慮される.本例のように,carotid webに対するCASは安全に施行可能であり,有用な再発予防の選択肢の一つと考える.

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© 2021 日本脳卒中学会
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