2021 年 43 巻 4 号 p. 365-369
要旨:階段状に症状増悪を認める progressive stroke は,一般的に予後が悪く,治療に難渋することが多い.内科的治療に抵抗性であり内頸動脈高度狭窄を認めた場合,急性期に carotid artery stenting(CAS)を行うことがあるが,過灌流による出血の危険性がある.慢性期の内頸動脈狭窄症に対するCASの際,過灌流予防目的に staged angioplasty という治療戦略が取られることがある.この構想に基づき,今回過灌流予防目的で急性期に staged angioplasty を施行した2例を経験した.症状増悪を認めたところで,まず percutaneous transluminal angioplasty(PTA)を施行し,24時間空けたのちCASを施行した.いずれの症例も過灌流は生じず,良好な転帰を辿ったため報告する.