脳卒中
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症例報告
成人 pial arteriovenous fistula:1例報告と文献レビュー
栗山 衣美川口 匠松田 芳和八子 理恵中尾 直之
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2021 年 43 巻 6 号 p. 561-567

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抄録

Pial arteriovenous fistula(PAVF)は,脳動脈と脳静脈がナイダスを介さず直接短絡する稀な疾患である.今回我々は,出血発症の成人PAVFに対し塞栓術と直達手術にて治療した1例を経験したので報告する.症例は26歳男性,突然の頭痛と嘔吐で発症した.頭部CTにて左側頭葉に血腫を認め,脳血管造影にてPAVFと診断した.N-butyl-2-cyanoacrylate(NBCA)にて塞栓術後,一期的に直達手術を施行した.NBCAが術中の解剖学的把握に役立ち,安全かつ確実に複数のシャントを離断できた.また,1979~2020年の成人PAVFの文献レビューを行い,臨床的特徴と治療法を検討した.塞栓術と直達手術の併用は106例中8例で,完全閉塞率は75%,転帰良好は88%であった.PAVFの治療法として,塞栓術と直達手術の併用は有効な可能性がある.

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© 2021 日本脳卒中学会
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