2022 年 44 巻 3 号 p. 268-272
【目的】孤立性の横-S状静脈洞部硬膜動静脈瘻(transverse-sigmoid sinus dural arteriovenous fistula: TSS-DAVF)に対し,さまざまな機器を利用し,低被曝でdirect sinus packingを行った1例を報告する.【症例】45歳女性.左側頭葉の出血で発症,DSAで孤立性の左TSS-DAVFと診断した.閉塞部のpenetrationには一定のリスクがあると判断し,ハイブリッド手術室でナビゲーションシステムとインドシアニングリーン蛍光造影を併用した直接穿刺を選択し,コイル20本を挿入して根治した.【結論】孤立性のDAVFに対するdirect sinus packingは古くから行われている手技だが,さまざまな医療機器を使用できる現在では,より低被曝で治療が可能であり,検討すべき選択肢の一つである.