脳卒中
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症例報告
高分解能MRIが診断に有用であった脳底動脈解離の1例
加藤 芳恵林 健太郎稲垣 諭史上田 真大朝山 康祐金井 由貴枝田原 奈生安部 哲史三瀧 真悟長井 篤
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2022 年 44 巻 3 号 p. 290-294

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抄録

脳底動脈のみの動脈解離は稀であり,治療方針などは定まったものがない.高分解能MRIを用いて脳底動脈解離を診断し,抗血栓薬にて治療した症例を報告する.症例は46歳男性.突然に眩暈,耳鳴り,頭痛および構音障害が出現し救急搬送された.MRI拡散強調像では右後頭葉に点状の高信号を散在性に認め,MRAでは脳底動脈中央部での高度狭窄を認めた.高分解能MRIでは,狭窄部はT1強調像で軽度高信号を呈しており,造影剤にて造影効果を認めた.脳底動脈解離と診断し,抗血栓療法にて治療し,症状は軽快した.6カ月後に耳鳴りを認め,MRI拡散強調像では橋右側に点状の高信号を認め,血管造影にて脳底動脈解離と確定診断した.脳底動脈解離の診断には高分解能MRIが有用であり,非侵襲的に診断することができる可能性がある.

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© 2022 日本脳卒中学会
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