2025 年 47 巻 6 号 p. 353-357
【背景および目的】本邦における,皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体顕性脳動脈症(cerebral autosomal dominant arteriopathy with subcortical infarcts and leukoencephalopathy: CADASIL)の診療実態を調査した.【方法】日本脳卒中学会員を対象に,「2019年1月から2023年12月の間に各病院の各診療科を受診したCADASIL患者の総数」を調査した.【結果】報告されたCADASIL患者数の合計は315人で,大阪府133人,京都府52人,熊本県19人,神奈川県16人,東京都12人の順に多かった.3人以上のCADASIL患者の診療実績を有すると回答した施設は16施設(7%)であった.施設別では,大阪府の1施設は120人の診療実績を有すると回答し,京都府の1施設が50人と回答した.【結論】本邦におけるCADASIL患者の診療が特定の医療機関に集中している実情が明らかになり,豊富なCADASIL診療経験を持つ脳卒中医が少ないことが示された.