脳卒中
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巨大甲状腺濾胞癌の圧排により総頸動脈解離を発症した1 例
篠藤 祐也高橋 牧郎
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論文ID: 10744

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抄録

要旨:甲状腺腫瘍が総頸動脈解離の原因となった既報はなく,脳卒中科のみならず耳鼻科領域においても臨床上重要と思われるため報告する.症例は76 歳女性,72 歳時に左甲状腺腫瘍を指摘されたが,吸引細胞診で悪性所見なく経過観察となった.76 歳時,突然の意識障害と右片麻痺で搬送され,NIHSS スコアは22 点だった.MRI で左総頸~内頸動脈に解離を認めたが急性期脳梗塞巣はなく,検査中に症状は寛解した.ヘパリンナトリウムで治療開始し翌日には無症状となったが,頭部前屈に伴い意識消失と右片麻痺が出現するTIA を2 回生じた.入院第5 病日よりTIA は消失し,MRI で動脈解離の改善を確認し,第29 病日に退院した.後日腫瘍は摘出され,頸動脈への浸潤は認めなかったが,病理検査で濾胞癌と診断された.本例では左総頸動脈が長径約5 cm の甲状腺腫瘍に圧排され,血管の過伸展や屈曲,血管分岐部の牽引力により外傷性動脈解離を発症したと考えられた.

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