脳卒中
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機械的血栓回収療法によって回収した塞栓子の病理学的および細菌学的診断により感染性心内膜炎に起因する急性期脳梗塞と診断した1 例
加藤 寛之今井 資廣瀬 俊明近藤 正規川端 哲平野田 智之槇 英樹
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論文ID: 10768

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抄録

要旨:77 歳の男性.突然の右半身麻痺失語で発症し救急搬送された.来院時NIHSS は17 点.頭部MRA/MRI で左中大脳動脈M1 遠位部閉塞と同領域にDWI で高信号(DWI-ASPECTS 8 点)を認めた.血液検査上は白血球およびCRP 高値で,心電図上は心房細動を認めなかった.急性期脳梗塞と診断し,rt-PA 静注療法後,機械的血栓回収術を行い,4pass でTICI2b の再開通を得た.回収した塞栓子の病理学的および細菌学的検査結果から感染性心内膜炎による急性期脳塞栓症と診断し,抗血栓療法は行わず抗生剤単独で治療を行った.脳梗塞の再発なく,mRS 4 でリハビリテーション転院した.感染性心内膜炎に起因する主血管閉塞型急性期脳梗塞の機械的血栓回収療法は,塞栓子の組成が通常と異なるため,手技回数が増加する傾向があり,また使用デバイスの見解も一定でない.一方,塞栓子の病理学的および細菌学診断が後療法の選択に有用となることがある.

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© 2020 日本脳卒中学会
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