論文ID: 10999
69歳,女性,言動異常のため受診した.上矢状静脈洞血栓症と診断し,緊急で血行再建療法を行った.再開通が非常に困難であったが,静脈灌流は改善し,53日目に自宅退院した.ワルファリン(PT-INR=2.0~2.5)で再発予防をしていたが,術後244日目に再発したため再治療を行い,前回同様,再開通が非常に困難であったが,静脈灌流は改善し,32日目に自宅退院した.ワルファリン(PT-INR=2.5~3.0)を継続し,約2年経過後の現在,再発なく経過している.精査の結果,アンチトロンビン(antithrombin: AT)活性低下,およびATをコードする遺伝子部位に既知のミスセンス変異を認め,先天性AT欠損症と診断した.血行再建術は困難であったが再灌流が得られ,術後PT-INR=2.5~3.0と高めに設定することで良好な結果が得られている.