脳卒中
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一過性脳虚血発作を呈した頭蓋内線維筋性形成異常症の1例
今岡 かおる小林 祥泰山口 修平山下 一也恒松 徳五郎
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1988 年 10 巻 1 号 p. 69-73

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抄録

一過性脳虚血発作を頻発し, 興味ある家族歴を有する頭蓋内内頚動脈の線維筋性形成異常症 (FMD) の1例を報告した.
症例は39歳女性.若年性高血圧の既往があり, 左半身の一過性のしびれ, 脱力発作が頻発したため入院.一般身体所見は血圧140/100以外正常, 神経学的所見正常, 頭部CT異常なし.脳血管造影において両側内頚動脈C5部に “string of beads” 様所見を呈し, FMDと診断した.
本例の母親も若年性高血圧, 脳梗塞を呈し当科入院.右脳血管写において, 中大脳動脈三分岐部にOsbornらの分類でII型にあたる “tubular stenosis” 様の所見が認められたが, 病理組織の検索が行なわれていなかったため, FMDと診断するには至らなかった.
頭頚動脈系のFMDの成因は未だ明らかでないが, 遺伝的因子の関与を示唆するものとして, 本例は貴重な症例と思われる.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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