脳卒中
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血栓性内頸動脈閉塞症の予後に及ぼす急性期の血糖及び慢性期の耐糖能異常の影響
紀田 康雄澤田 徹成冨 博章栗山 良紘山口 武典
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1988 年 10 巻 1 号 p. 9-15

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抄録

血栓性内頸動脈閉塞症の100例の梗塞サイズ, 退院時の機能予後に与える急性期血糖の影響と, 基礎に存在する耐糖能異常による影響を各々検討した。
発症後48時間以内の急性期入院例は47例あり入院時血糖と梗塞サイズとの関係を調べた.両者の間の相関係数はr=0.07で入院時血糖と梗塞サイズの間には有意な相関を認めなかった。一方, 対象のうち発症前又は慢性期の糖負荷試験で耐糖能正常例 (A群) は38例, 耐糖能異常例 (B群) は45例, 判定不能例は17例であった.A, B群の重症渡を比較すると梗塞サイズ, 退院時の機能予後ともB群はA群に比べ有意に悪かった (p<0.02).慢性期に測定したrCBFもB群ではA群に比べ有意に低く (p<0.02), 梗塞サイズとの間に有意な相関を認めた (p<0.001).
血栓性内頸動脈閉塞症のうち耐糖能異常を有する例は耐糖能正常例に比べ有意に重症例が多く, その原因として急性期の高血糖よりも基礎に存在する耐糖能異常に基づく動脈硬化性病変の程度が関与している可能性が示唆された。

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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