脳卒中
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急性期脳塞栓症連続36例における塞栓症再発寄与因子の検討
A prospective study
寺井 敏朴 永大山口 武典澤田 徹矢坂 正弘
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1988 年 10 巻 3 号 p. 215-220

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抄録

発症48時間以内の急性期脳塞栓症連続36例において, 入院時から経時的に心エコー図検査と血液凝固学的検査を施行した.
36例中3例に左房内血栓の新たな発生あるいは塞栓症の再発が見られ (再発群) いずれも発症後2週間以内に認められた.
再発群では左室容積と左室駆出率には明らかな異常はなかったが, 左房径の拡大が認められた.さらに経過中に左房径の縮小やヘマトクリット値の上昇が見られ, これらの症例では血液濃縮傾向へ傾いていたものと考えられた.
血液凝固学的検査値の推移では, 血漿フィブリノーゲン値の低下と部分トロンボプラスチン時間の短縮傾向が認められた.これは再発群における凝固亢進状態と心腔内での血栓形成を反映していたと考えられた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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