脳卒中
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老年期痴呆患者に於けるCTシステルノグラフィーの検討
野倉 一也蒲沢 秀洋松原 充隆山本 正彦永井 肇
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1988 年 10 巻 3 号 p. 275-281

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抄録

多発梗塞痴呆 (MID) 29例, アルツハイマー型老年痴呆 (SDAT) 7例, 正常圧水頭症 (NPH) 8例, 脊髄小脳変性症 (SCD) 3例のCTシステルノグラフィー (CTC) を分析した.CT上4ヵ所を経時的に肉眼的に半定量し各群間で検定を行った.MIDと, 正常パターンを示すSCDの比較ではMIDで脳室に残存する傾向が強く髄液の循環も遅かった.MIDとSDATでは差が見られない.MIDとNPHではNPHで脳室逆流が強いが髄液の脳表からの消失はむしろMIDが遅い.MIDのなかでは70歳以上で有意に髄液の循環障害が強い.ADL (15点満点) では6点未満が6点以上より, 長谷川式では21点未満が21点以上より障害が強い.MID群SDAT群では24時間に於ける軽度脳室逆流, 24, 48時間に於ける脳表部残存というCTCのパターンが典型的と考えられるが, これは従来のCTC分類には無く, 高齢, 痴呆化傾向に密接な関係があると考えた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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