脳卒中
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被殼出血187例の保存的治療群と外科的治療群の比較
渡辺 賢治棚橋 紀夫奈良 昌治峯 徹竹中 信夫
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1988 年 10 巻 4 号 p. 349-354

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抄録

当院に入院し, CTscanを施行し得た被殼出血187例 (男116例, 女71例, 平均年齢58±13歳) を保存的治療群159例 (59±13歳) と外科治療群28例 (51±11歳) に分け, 入院時の意識レベル, CT分類及びCT上の血腫の最大径と退院時予後との関係を検討した.入院時意識レベル, CT分類, 退院時予後は脳卒中の外科研究会による分類を用いた.187例全体での退院時予後は, 社会復帰12.8%, 自立生活17.1%, 介助生活22.5%, 寝たきり8.0%, 死亡39.6%であった.保存的治療群では, 血腫の最大径が増加するにつれて急激に死亡率が増加した.生命予後の比較では, 入院時意識レベル別には両群に差はなく, CT分類では4b群 (内包前・後脚に伸展し脳室穿破を伴うもの) および血腫の最大径では6~7cmの群で外科的治療群が優っている傾向があった.これらの結果より生命予後の立場からすると症例を選ぶことにより, 被殼出血においては外科的治療も考慮すべきと考えられた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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